こんばんは。

岡崎市議会議員の小田たかゆきです。

本日、12月定例会が閉会となりました。公契約条例等の条例案や補正予算など全43件の議案にたいし賛成という立場で表決をさせていただきました。

さて、そのなかで会派内でまた討論において、議論されたもののひとつに太陽の城跡地に建設が予定されているコンベンション施設がありました。

それについて最終的には賛成と表決したわけですが、そこに至る過程を事後検証できるためにも記しておきたいと思いますので、すこし長文になりますがお付き合い頂ければ幸いです。

事の経緯は、HP上で確認できるだけでも、1年前の2018年11月からはじまっており、地元経済団体からの長年の要望や、幾度かにわたる事業者とのヒアリングを行い、かつ近隣都市での同規模の施設の調査をした結果、最大で椅子のみ使用の会議で1,000人、立食で800人の催事に対応したホールを持つ施設を公民連携事業(PFI事業)で民間ホテル事業者などを含む特別目的会社(SPC)とともに2023年4月1日にはオープンを実現しようとしていることになります。



そこで、今回の12月議会で上程されたのは、コンベンション施設の整備費用や、維持運営費用、土地整備費用、事前からのPRの予算など約80億円でした。これをテコに、来年度の6月議会でSPCとの事業契約の締結にむけ具体的に動き出そうしているわけですが、この間、約1年にわたり議論され、会派内でまた本日の討論で明らかになってきた疑義は概ね以下の3つに集約されてきています。
1.建設費用の妥当性
2.他の計画との整合性
3.政策の優先順位
まず、1.建設費用の妥当性ですが、こちらは現時点で岡崎市が計画しているのは平米辺り50万円程度で他都市の類似施設の相場が約40万円〜50万円と比較しても、それほど変わりはなく、妥当なものであると考えています。

もちろん、今後の相手方の提案次第で変化していくとは思いますが、この線からおおきくはみ出すことがなければ妥協点となるはずです。

ここまではいいのですが、つぎの2からなかなか難しくなってきます。

2の他の計画との整合性とは具体的には、平成28年8月に策定された「岡崎市公共施設等総合管理計画」との整合性です。



この計画は、将来予測される少子高齢化による一般財源の縮小を見据え、インフラの維持更新費用の負担をいかに削減するかを具体的な目標と数値で掲げています。

具体的に今回の計画と関連がある部分を引用すると、
2-2 行動原則
⑴ ハコモノ原則
▼ 新規整備は、原則として行わない
 長寿命化を前提に適正な管理を行い、既存建物の有効活用を図り、新規整備は原則として行わない。
 新規整備が必要な場合は、必要性や有効性を十分に検証し、類型別方針の総量規制の範囲内で将来負担に配慮して行う。
▼ 施設総量(総延床面積)を縮減する
 本市の建物全体の総延床面積を 40 年間で15%程度縮減することが必要である。
 総量の縮減に際しては、サービス水準の維持を目指す。また、PFI 事業など官民連携による機能向上の検討をあわせて行う。
ということが記載されています。

ここの読み方が難しいのですが、ハコモノ原則では、「新規整備は原則として行わない」とされ、新しいハコモノは原則建てないとしつつも、その一方で、「新規整備が必要な場合は、類型別方針の総量規制の範囲内で将来負担に配慮して行う」とも書かれており、ややこしいわけですが、要は、必要とあれば、新規で建ててもいいけど、その条件として「類型別方針の総量規制の範囲内」に収めることが謳われています。

ということで、必要性や有効性があれば(わたしはあると思うわけですが)、今回のコンベンション施設は類型別ではホール・会館施設に含まれるので、ここの総量を今後調整することを検討していくことでクリア出来るはずです。

また、総量として40年間で15%の削減も謳われています。

先日の答弁では、この総量の目標値についても未達であることが確認されましたが、しかし総量を考えるさい、最大の本丸は約50%を占める学校教育系施設と住宅系施設のコントロールです。ただ、ここは大変シビアな問題で、少子高齢化をむかえ児童生徒数が減る学校を閉鎖するのは一見合理的ですが、他方で、地域コミュニティの中心として機能している学校を動かすことには相当な抵抗が予想されるものです。

ここについてもしっかりと議論を重ねて行く必要があります。

と、話が逸れていますが、コンベンション施設の建設に関しては、全体的な総量規制を睨みつつ建設をすすめることは、この計画を一概に逸脱するものではないと認識しています。

さて、最後に3の政策の優先順位という問題です。

いわゆる「80億をもっと別の政策に振り向けるほうが賢明だ」という議論です。

子育て、医療、福祉、教育、これらの分野で困っているひとは多くおり、それらの対策に手当てをするほうが優先であり、無駄なコンベンション施設を作る金があれば、そっちに振り向けるべきではないか、そそういうことです。

この手の議論をする時はわたしは時間軸を考えることが大切ではないかと思います。

コンベンション施設の建設は経済効果(30年間で280億円と試算)をうみだすことで、継続的に歳入を増やすことを目標としています。かりにこれがうまく回れば、さまざまなところに効果を生み出すことを可能とし、ひいては持続的に上記のような政策分野に資源を振り向けることを可能とするはずです。

もちろん、「風が吹けば桶屋が儲かる」式のはるかなる因果関係を信じるのは難しい側面があることは承知しているつもりですが、すくなくとも今回のような一種の投資的な事業であれば、そのような合理的な物語を語り、周囲に説得することが決断をするために必要です。

ここに関しては、当局と話し合う過程で相当程度あると感じました。

また優先順位の問題は、政治判断が大きく関与する領域でもあり、これに関してはなかなか如何ともしがたいところがあることも付け加えておかなければならないでしょう。

いずれにしても、この優先順位の問題はそれぞれの分野における投資と効果の物差しが異なるが故、一概に論じるのは難しいものです。

ただ、今回のコンベンション施設は投資的な側面もあることから、しっかりと事業としての成否を継続的にフォッチしていくことは必要となりそうです。

ということで、現時点で議論の状況と、それに対するわたしの立ち位置を記させて頂きました。

たぶん、賢明な人はこんなことを文章に残さないと思いますが、どの道、来年の改選時においては争点のひとつになることが予想されるのがこのコンベンション施設の建設です。

とりあえず、現時点の考えを記しておくことで、後から有権者のみなさまにとり判断をするための材料に資すると思い、記録しておくこととしました。

それでは。

-------
Line公式アカウントなどさまざまなSNSで、岡崎市内の情報や議会での活動を発信しています。
ぜひ、ご登録お願い致します。

友だち追加