暇を見つけては本を手にとるようにしています。

 
読書家である、などとたいそれたことは言えませんが、習慣として、などと格好いいことでもなく、手持ち無沙汰なときに手に取るようにしています。
 
そんななかで、ふと手に取ったこちらの本はひさびさにグイグイと読んでしまい、感心することばかりで、みなさんにおすすめです。
 
日本探検 (講談社学術文庫)
梅棹 忠夫
講談社
2014-09-11


たぶん名著として、また古典として有名な本だと推察するところですが、なにぶん1960年代に書かれた論稿をおさめたものなので、いままで知りませんでした。
 
ここで、なにかを説明するには力不足なのでぜひご一読いただきたいのですが、ひとつだけ「高崎山」と題されたサルを巡る国内の研究史はめちゃくちゃおもしろいです。
 
日本は世界でも先端的なサル研究をすすめてきたそうですが、氏はその研究の端緒に餌付けによるサルと人間との交歓があったことを指摘し、これが西洋的な「科学的態度」とは根本的に異なる道をサル研究に持ち込んだとしています。

餌付けによる人間とサル、動物との距離感は文明史的なちがいをあらわすものであり、こう説明されています。

おそらくは、日本人のほうが、精神的にサルにちかいのである。日本人は、サルにはある種の親近感をもっている。西洋人は、人間と動物とのあいだに、断絶感をもつばかりで、動物なら、サルでもなんでもおなじことである。

人間と動物に明確な境界線をひくことなくつきあうことができる日本と、そこに明確な分断線を見出し、動物やサルを物として、分析対象としてクールに見つめる西洋的な視点の違いが、ここでは冷静に描かれています。

2分法をもちい、ここからあっちはああで、こっちはこうでとするやりかたは、ここ最近は評判がわるいものです。ややもすると、この方法は排他的になり、敵味方という分断線を生み出すこととなるからです。

が、そう腑分けすることで、世の中がみやすくなることもまた確かであり、2分法をやめられない理由もそこにあると思うのですが、これだけわかりやすくなるならやはり方法論としては絶対に必要だと再認識する次第です。


とにかく、おもしろい本でした。

ぜひ、読んでみてください。


それでは、また。



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