背が伸びるにつれて 伝えたいことも増えてった
宛名のない手紙も 崩れるほど 重なった

中学生の頃、毎日のように聴いていた、Bump of chikinの天体観測にはこう歌う一節があります。

思春期を生きる男の子はこれでいいのですが、自治体がそうでは困ったものです。

税が伸びるにつれて 伝えたいことも増えてった
宛名のない書類も 崩れるほど 重なった

と。


「平成31年度岡崎市予算編成方針」が発表されました。

予算をどのように編成するか、その勘所を示すものですが、あまりにさらっとHP上に置かれているので、ちょっと長いですが、全文引用します。
基本方針

政府は、骨太の方針である「経済財政運営と改革の基本方針 2018」において、 少子高齢化を克服し持続的な成長を実現するため、「人づくり革命」と「生産性 革命」に最優先で取り組み、地域へ新しい人の流れを生み出すことで地方創生を実現するとしている。

本市における平成 31 年度は、乙川リバーフロント地区整備や東岡崎駅・JR 岡 崎駅周辺整備、さらには南部の大学病院が 2020 年4月に開業予定であることな ど、第6次岡崎市総合計画後期基本計画の重点プロジェクト及び岡崎市まち・ひと・しごと創生総合戦略の各施策をとおして、本市の顔づくりが進んでいくだけでなく、未来を託す子どもたちの夏場の学習環境の整備を進め、夢ある新しい岡崎が実現するための大きな一歩を刻む1年となる。

予算編成において、歳入では、長期にわたる景気の回復基調に支えられて市税収入は増加傾向にあるものの、地方交付税及び臨時財政対策債が段階的に縮減することや、近年、国県支出金の減額が顕著であることなどから厳しい状況が見 込まれる。

一方、歳出では、増加を続ける社会保障関係経費に対応するほか、消費増税などの国の政策にも対応しなければならない。また、継続費を設定している大型事業や、小中学校のエアコン整備など、市の政策的な事業にも対応が求められている。

以上のことから、歳入は、特定財源の確保、財政調整基金を始めとする各基金や市債の積極的な活用により財源確保を図ることとする。歳出は、事業の優先順位付けを重要視し、施策・事業の有効性、効率性を点検し、事業の取捨選択を行うとともに、多額の不用額が生じないよう予算精査を行うこととする。

どこかすっきりしない文章です。

とりあえず、内容はわかります。

歳入は景気が良く市税はいいけど、他の入りが難しから厳しい。歳出においては社会保証関係が増えるし、政策的な事業で予算が必要。だから、歳入においては国、県からもらえるものはもらい、他方で、税収以外を増やし、市債などでうまくやりましょう。歳出は優先順位をつけて、無駄がないようにしましょう。

こんなところだと思います。

すっきりしないのは内容ではなく、宛名の問題と言えばいいのか、これが誰に宛てた文章かがわからないところにあります。

宛名のない手紙(書類)…

素直に考えれば、内部文章でしょう。

差出人は予算査定を担う財務部で、宛先は各部署、です。

「まあ今年も去年と同じで、こういう感じだから、そこのところ、ひとつ頼むよ」
「いつも辛いんですよね〜なんとかなりませんかね〜」

という感じを醸しだす程度のもので、それじゃあなんなので、一応形を整えましたというもの。

内部文章であれば、それでいいわけです。

文脈を理解した者同士が、区切りとして出しているものであり、助長な表現や丁寧で気の利いた言い回しなどむしろ時間の無駄でしかありません。

ささっと書いて出せばいいわです。

が、これは少なくとも内部文章ではありません。

予選編成方針としてHP上に掲載してあるものです。そして、そうであれば宛名に市民が入っていると考えるのが妥当です。

とすれば、書き方にもう少し配慮というか、文脈を理解しない読み手のことを考慮した書きぶりをしておく必要がありそうです。

拝啓 市民のみなさま
秋深まるこのごろ。今年も予算編成の時期がやってまいりました。

この書き出しはあまりに気持ち悪いですが、なんというか、しっかりと手渡す配慮、熟慮、努力が必要ではないかと思うのです。

すべては無理です。

それでも、こういう重要な方針はせめてそうして欲しい、そういうお願いだと思っていただければ幸いです。


こういうことを書けば、お前はどうなんだということに、当然なります。

ことの成り行きで。

そうなります。

…すべてでは無理なので、重要な局面ではそうありたいと思う次第です。

それでは、また。