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「全国地方議会サミット2018 議会のチカラで日本創生」の2日目に参加してきました。

全国の先進議会で進められている事例発表や、米国議会の立法過程についての講義に、3名の女性議長が登壇しての多様性にかんするシンポジウムに、北川元三重県知事による総括と朝から内容目白押しの内容でした。

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なかなか内容を一言であらわすのは難しいのですが、今回のサミットを貫いていた大きなテーマは「住民自治の充実させ、住民福祉を向上させる」ために「議会のチカラ」を議会改革により向上させる、であったと思います(たぶんですが…)。

議会のチカラ、議会改革を進めるのがなぜ住民福祉に繋がるのかは、少し説明が必要です。

すこしだけ過去をふりかえると、2000年に施行された地方分権一括法により、分権化がすすめられました。分権化とは言葉を変えれば自治体の権限が増加することですが、他方で、かつてなら中央が決定したことを粛々と遂行していればよかったところを、それにより自らの力で答えを出していかなければならないこととなりました。

ということで、自治体職員をはじめとした執行部の能力向上はもちろんのこと、自治体の一翼を担う地方議会もまた分権化時代に見合った役割、能力を身につけることが叫ばれるようになったというわけです。

そして、その能力といえば、議会の監視機能はもちろんのこと、政策を策定する能力であり、市民の声を吸収する能力や、それに加え、条例制定能力であるとされたのです。

ただ、その時点で議会にその機能は実装されていませんでした。

というのも、戦前からつづく(戦後の切断は中央ほどには地域に及ばなかったという考えを取れば)地方議会、またその構成員である地方議員の役割は、単純化すれば、地元名士による名誉職の寄合いといった体のものであり、激しい政治闘争はあれども、それは高度経済成長を背景にした増大する再分配をめぐる闘争(これはこれで大変だったとは思いますが)でしかなかったからです。

ポスト分権化の議会は、そのような名望家集団の議会から脱却をはかり、さきの能力を議会、議員に実装させることで、自治体全体のパワーアップを企図する。そしてそれは「住民福祉の向上」に繋がる、そう目標が立てられたのです。

他方で、上記のような統治機構内部の変化だけではなく、社会的な構造が変化したことがあげられます。

戦後経済成長を遂げることにより社会構造に変化がおこり、端的に言えば社会は多様化と個人化へとすすむことになりました。

これは核家族化にともなう地縁組織の空洞化、また就業形態の変化などに起因するものですが、それによりかつて「名望家政治」で機能していた、家を代表する家父長→その集合体である町内組織→それを束ねる名望家(議員)という図式による意見集約が機能不全になることを意味していました。

そしてこれが地方議会、地方議員の不要論が住民に蔓延することに繋がりました(これもたぶんです)。

社会の構造が変化しているにもかかわらず、地方議員はあいもかわらず家父長制が機能していた時代の意見集約機能だけを行なっていたために、そこから漏れるひとが多数いるにもかかわらず、結果的に多くの住民にとり住民と議会の接点が失われていったからです。

議会改革において重要とされる中のひとつに、いかに「開かれた議会」にするかがあります。具体的には、議会が出張しての住民対話集会や議会会報誌とネットを連携したメディアミクスなどですが、これは煎じ詰めれば、議会と住民、議員と住民の失われた接点をいかに再構築するかに主眼がおかれているのです。

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とながなが書いて来ましたが、要は議会が果たすべき機能を今の時代にあったものにいかにアップデートするか、作り変えるか。それを大げさに「議会改革」と呼んでいるのだと思います。

本日のサミットではその線に沿った、多くの先進的な取り組みの発表を聴くことができました。

会津若松市議会のマニフェスト型議長選挙、あきる野市議会のフリーペーパー型にデザインされた議会広報誌、犬山市議会の議員間対話をつうじての意見集約、可児市議会の常任委員会の委員長による当局への代表質問などです。

どれも素晴らしい取組みであり、岡崎市議会でも参考になるものがたくさんありました。が、もっとも大切なことは、「住民福祉の向上」をいかにあげることができるかなはずです。

そしてそのために時代にあった議会の体制を築き上げることではないでしょうか(本日のサミットもそういう話しでした)。

今後とも、その一助を担うことができるよう微力ですが尽力していければと思います。

 

それでは、また。