委員会の視察2日目。

東京都は江戸川区で「子どもの成長を支える江戸川区の取り組み」について視察をしてきました。

子どもの貧困は見えない

これは現在も現場でさまざまな施策を実施されている担当の方が戸惑いとともにおっしゃっていた印象的な言葉でした。

これはどういうことなのでしょうか。

「貧困」の問題を考えるさい「絶対的貧困」なのか「相対的貧困」のことに言及していのかを分けて考えていかなければなりません。日本においては明日食べるごはんもなく着る服もないというような絶対的貧困が問題になることはほとんどないはずです。

しかし、いま私たちの社会が抱えている問題は後者の「相対的貧困」です。

そして、これは行政がもつさまざまな統計データをみつめてもなかなか炙り出すことが難しいことで知られています。
相対的貧困とは経済面にとどまらず、いじめや虐待など社会の中に
潜在化している場合も多く、教育、雇用、福祉等のさまざまな社会制度
に基づき発生する複合的な精神的・文化的な窮乏状態だ。
問題の所在や実態、因果関係、経済支援の直接効果などの把握は
難しく、豊かな国ゆえの貧困問題とも言える。

絶対的貧困と相対的貧困 | ニッセイ基礎研究所 http://huff.to/2kb102E
冒頭の「子ども貧困が見えない」という言葉の意味はここらあたりに原因があると考えられます。「絶対的貧困」ならば即物的な対応が可能となります。

他方、「相対的貧困」は目に見えて貧困というわけではなく、例えば、家庭環境ゆえに子ども自身の「自己肯定感」が乏しことで学校の勉強にたいし意欲をもてない、ということもあり得るわけです。

そしてさらにこの「相対的貧困」が問題とされるのは、これがどうやら「世代間再生産」を生み出す構造だということがわかってきたからです。

だとするとこの再生産される「貧困の連鎖」をとめることがいま基礎自治体をはじめ行政が取り組んでいかなければならない課題の一つとして挙げられるわけです。

で、江戸川区ではさまざまな施策を統合しながらこの連鎖を断ち切ることに挑戦をされていました。
これらを繰り返し相対的貧困をなくすことで、「よき担税者を育てる」それが施策の目指す目標でありめぐりめっぐって社会に恩恵をもたらすことになるだろうと語られていました。

委員会視察二日目は少し抽象的でしたが、これから私たちが直面する課題の先進的な取り組みを学ぶことができました。


では、また。